Thothの日誌

日々の活動や読んだ本について書き綴っていこうと思います

自己理解と幅広い知識

こちらの本を読みました。

専門化がもてはやされる現代ですが、知識や経験の幅広さの需要性を説く本になっています。

学習の進め方や専門化の危険性(デメリット)などをまとめてくれているので良書だと感じました。

親切な環境なら同じ練習を、曖昧な環境なら練習を幅広く

スポーツ選手や音楽家は子供の頃から専門特化し、一つのことを突き詰めていることが多いですが、それが成り立つのはスポーツ、チェス、音楽などルールがはっきりしていて適切なフィードバックが得られる「親切な環境」であればうまくいきます。ですが、現実世界ではそんなにはっきりとしたルールがある方が珍しいのでスポーツでのやり方を現実世界すべてにあてはめてしまうのは危険です。

あまりにも専門特化しすぎると(専門以外の)曖昧な問題解決力が落ちる

よく「専門家の未来予想はあたらない」と言われますが、その理由は一つの分野のみに特化すると世界を見るレンズが変わる(悪い言い方をすると歪む)ため視野が狭くなってしまいますが、特化した分野においては得意げになっているために危険な自信を持ってしまっている人が多いそうです。その為、自信満々に物事を述べるのでテレビ受けはいいですが、その予想は外れてしまうのだとか…。
また、幼少期にたぐいまれな才能を発揮する子供を神童といいますが、彼らの能力が優れているのは限定された世界(チェスなど)の範囲で成果を出す能力に優れている人が多いので彼らの中で世界を変革する人は全くいないそうです。

自分で答えを考える行為はたとえそれが間違っていても効果をもたらす

最近はコスパのいい生活をと言われますが、学習に関してはコスパを求めすぎるのはよくないかもしれません。教師から全く教わらない状態で始め、うまくいかないながらも考えたのちにフィードバックをもらうのが良い方法らしいです。後になって上手くいきために今のパフォーマンスを下げる必要がある為、なかなか受け入れるのは難しいでしょうね。また、自分が取り組むときも教えるときもヒントをもらいすぎず、与えすぎずにいきたいと思いました。

一つ一つのスキルよりも自己理解

学生時代に専門分野を決める時期を遅らせた学生はそうでない学生よりも就職後に転職する可能性が低かったそうです。他の分野を知らないのに「俺は○○で生きていく」とすぐに決めない方がいいのですね。
天才のイメージというと「早い時期から長期的な目標を立ててそれを遂行していく」があると思いますが、実際は「試して学び変化していく」人が多いそうです。堅固で頑丈な答えをすぐに出すよりも仮説を立てて実験するように生きるのがよさそうですね。
そして肝心の自己理解ですが、私たちはどこかで本当の私があると思い込む人が多いかもしれませんが、人の行動は置かれた状況、誰と一緒にいるか、何をしているかで振る舞いが大きく変わってしまうのでそれを考えても仕方がなく、それぞれの状況で自分はどんな行動をするのかを知る方がはるかに大切です。


パレオな男のブログで本書を知りましたが、とても勉強になりました。
まぁ気を付けないといけないのは幅広く取り掛かろうとすると時間が足りなくなることですね…。