Thothの日誌

日々の活動や読んだ本について書き綴っていこうと思います

銀河英雄伝説シリーズ

ハリーポッターシリーズのように長編小説は一つの記事にまとめた方が管理しやすいのでこの本も同様にしようと思います。

黎明編


野望編


雄伏編

今回はヤンがメイン回だった印象です。というのもラインハルトは国政で忙しく、またキルヒアイスを失ってしまった喪失感をまだひきづっている印象を受けます。これは彼の部下たちにも見受けられますね。キルヒアイスの事に関してはかなりメタ発言になってしまいますが、作者は早めにこのシリーズを終わらせる予定だったらしく、編集から「もっと描いてくれ」と言われた為にキルヒアイスが早すぎる死のように見えてしまうらしいです。
ラインハルトの様子を見ると最高権力者の孤独を垣間見てしまいました。畏れられても親密な関係を築く事はできないのでしょうね…。


今回は同盟側の弱体化がより顕著に見えてきており、政府も腐敗が進んでいる事が伺えます。前線に配備した指揮官を首都まで呼ぶってやっぱりまずいですよね…。帝国側の士官が「有り得るのか…?」と思うのも頷けます。ヤンに対して詰問する際も「自分たちは安全なところにいながら軍人には戦争賛美して戦えと言う」という姿勢がありありとしており、オーディオブックで聴いていてよくそんな事が言えるなぁ…と思ってしまいました。

ヤンは終盤、ユリアンに「軍隊は国家によって形成された暴力集団で有り、市民が暴動を起こしたら軍隊は国家を守る為に市民に銃を向ける。市民のために立ち上がった軍隊は少ない。」と諭します。更に国家の為、という大義名分があれば市民を軍人にし、人体実験を平気でさせる、と…。

フェザーンの首領親子の微妙な関係が今後の不吉さを予感させますね。

2023/09/11追記 本編は読破しました

見出しの通りですが読破しました。本筋からちょっと逸れてしまいますが、気になった内容がありました。

ユリアンはいろんな分野で頭角を表すようになるのですが、様々な登場人物から「器用貧乏になるなよ、それぞれの分野で卓越した人たちに勝てなくなるぞ」と言われた際に地の文で「では、その卓越した者たちの苦手な分野で戦えば彼らは手も足も出まい」という内容の反論には重要な示唆があると感じました。オーディオブックの為、詳しい引用が難しいのが心苦しいのですが…
この内容はこちらの本の内容にも関わってきますね。

「比較優位」という考え方です。自分は何かの分野で一番にならなくとも、自分が今いるコミュニティのメンバーの中で優位に立てる分野や技能で勝負すればいい、という考え方です。