Thothの日誌

日々の活動や読んだ本について書き綴っていこうと思います

桐島は出てこないのか…

桐島、部活やめるってよ」を読みました。

 

 

タイトルが非常に印象的な本ですが、肝心の桐島は全く出てきません。代わりに桐島がバレー部を突然退部する事で周りの人間に直接的、間接的に影響を受け、その様子を描いたのが本作になります。ミステリーのような明確な解決というものはなく、あくまでも登場人物それぞれが抱えているものをつづったものになるので少し肩透かしを食らってしまうかもしれません。印象に残った人を挙げると…

 

 

 

小泉風助

バレー部部員。桐島が退部したことで自分が試合に出られるようになり嬉しい反面、そんな自分に対して嫌悪を抱くという相反する思いに悩まされていました。また、ベンチにいたときに桐島にキャプテンの印を貼るときに強い印象を覚えていたり、自分がコートに立つことでベンチにいる人に聞きたくなった時に自分がベンチにいた役割を改めて認識していました。

 

前田涼也

実写版で神木君が演じていた人らしいですね。(私は観てないです…)

スクールカーストというものを強く認識している人。とはいえ、彼の映画に対する情熱は全くかかわりのなかった宏樹には眩しく見えるものというのが個人的には良いなと思いました。(小並感)

 

 

宮部実果

一番重い人かもしれないです。親の再婚によって父と義母と義姉と住んでいましたが、事故により父と義姉が亡くなってしまいました。そのショックによって義母から義姉として認識されて生活することになってしまいます。

義母から大切にされていないと嘆きつつ、彼女自身もまた義母の誕生日祝いを購入するときに年齢を知らなかった、そこまで関心を払っていなかった自分に気づかされます。

 

菊池宏樹

一見陽キャに見えても、胸に抱えるものがあるのだなと感じました。読んでいて最もつかみどころが無いと感じましたが、それは彼自身、何を考えているのか、何に対して不満を感じているか分かっていなかったのですね。終盤、前田を見たときに何かに対して全力で打ち込んでも、結果が出せないかもしれないという恐怖によって一歩を踏み出せない状況だったと気づきます。