先日、スヴェン・ブリンクマン 著の『地に足をつけて生きろ!』という本を読みました。
ジャンルとしては反自己啓発がテーマとなっており、自己啓発の問題点を挙げ、その代わりにどのように生きていくかを提案する内容になっています。
内容としては酒井穣 著の『自己啓発をやめて哲学をはじめよう』という本に近いです。
己の内面を見つめたりするな
自己啓発書などではよく「自分を知ろう」だとか「内面を見つめると解決策が見えてくる」、「答えは自分の中にある」などと言われますがそれも行き過ぎると弊害が出てきます。
例え自分の内面を見つめたとしても何もないかもしれないし、もしもあったとしてもこの考え方は猟奇殺人やサイコパスのような他者を顧みないような人たちの性質を助長させるだけなのではないか。と本書は述べています。たとえ「俺はこれがしたいんだ!邪魔するのは権利の侵害だ!」と言われても迷惑なものは困りますね…。
人生のネガティブにフォーカスする
ポジティブは何かともてはやされやすいですが、こちらにも問題はあります。ポジティブすぎると、本当は何か手を打たなくてはいけない危険な状況にあるにも関わらず「俺は大丈夫だ」と根拠なく自信を持ってしまいます。その危険な自信を政治家が持つと「よろしい。ならば戦争だ」という事態にもつながってしまうと警告しています。
昔の私もポジティブの方がいいと思っていましたが最近では現実をしっかり見た方がいいなという考え方にシフトしてきましたね。
小説を読むこと
自己啓発書と同じくらい人を危うい方向に導きやすいのが伝記なんだとか。自己啓発書の場合、仕事の成功や何かの達成に重きを置きすぎていて「それだけ良ければいい」という短期的・近視眼的な内容になるものが多いです。
伝記もまた、偉人の素晴らしい所にばかりフォーカスが当てられてしまいがちです。しかし、その人の黒い部分や見えない苦労、恵まれた環境や両親から受け継いだ遺伝子や習慣など人それぞれ違う部分というが無視され、皆も彼のようにすれば成功する、という方向に導きがちです。
小説の場合、ハッピーエンドばかりではなく、バッドエンドの物もあり、単純な勧善懲悪では片づけられないものも浮き彫りに出てきます。ハッピーエンドに見えて考えさせられるものもあります。
気になる点もあります…
最後にこれだけはとても気になったのですが、難しい言葉が沢山出てきて理解に苦しみました。訳者あとがきによると原文もこんな感じだったらしく、四苦八苦しながら翻訳作業に取り組んだと述べておりました。
大学時代の私は体育会系の部活に所属していたのもあり、成果を出すことを求められていたので自己啓発書は結構読んでいました。しかし、そのジャンルの少し偏った内容やだいたい他の本と同じことを述べているものが多いと感じて最近では離れていました。
これを機に私も小説を読んでみようかなと思いました。