以前自己啓発書を読むくらいなら小説を読め、という本を読んだことがあるので、小説も読んでみようと思いました。
とはいえ小説にはビジネス書や評論、論文とはまた違った特徴があり、読みにくい部分があります。
- ビジネス書の場合、タイトルや目次から何についての本かがわかるように書かれているが小説はそうではないこと。その為、小説を買う場合、一種の博打をしているような感覚がある。
- 飛ばし読みをすると話が分からなくなり、どうしてそうなったのかがわからなくなったり、そもそもどこまで飛ばすか基準を設けにくかったりする。(ビジネス書のように章分けがはっきりしておらず、「第1章」という見出しで100ページ以上もある場合がある。)
私も小説がスラスラ読めるわけではないですが、意識していることとしては…
基本は最初から読む
途中から読んでも話が分からなくなるので正攻法に行くのが基本になります。ビジネス書とは真っ向から対立する読み方ですね。
しかし、ここで問題になってくるのが退屈だと思ってしまう個所にぶち当たったときでしょう。「この本読むのやめようかな…」と心の声が言い出す瞬間です。このときにとれる手段としては…
- そのまま読む(垂れ流し)
- その時はつまらないと思っていても後になって伏線であったことに気づくと「そういうことだったのか!!」と小説の面白さに気づくこともあります。
- オーディオブックで興味はなくとも、頭に入らなくとも再生を続けるようなイメージです。
- 『本を読む本』でも書かれていますが、小説を読む場合、書かれている事柄に批判的にならず、積極的に受け入れる姿勢が必要になります。
- あきらめる(笑)
- 人生は限られていますし、結末まで行ってもつまらない場合もあります。前述のとおり、小説を読むのは一種の博打をしているようなものなので読んでもつまらない場合はどうしても出てきてしまいます。その本には見切りをつけて他の本を読んだ方が楽しめるかもしれません。
この方法ではいささか脳筋すぎる方法なので強靭な精神力を持つ人にしかできなくなってしまいます(笑)。
以降、工夫していく内容になります。
登場人物は押さえておきたいが、無理に覚える必要なし
小説の構成要素としては話の流れ(次項参照)、登場人物の性格や行動、世界観、時代背景でしょうか。
群像劇や登場人物が多数出てくる小説は読みにくいもの筆頭だと思いますが、テストに出題されるわけではないので必ずしも覚える必要はありません。
『十五少年漂流記』などはタイトルの通り15人の少年たちが登場しますが、重要人物の描写は何度も出てきますので、ブリアン、ドノバン、ゴードン、ジャックを覚えることはさほど難しくありません。登場人物の記憶を自然な記憶に任せておくのが重要ですね。
三幕構成を意識する
三幕構成は主に映画で用いられる構成のフレームワークのようなものです。
- 設定
- 対立
- 解決
基本的にはこの流れでストーリーが進行し、所々ステップの移行がないと変化が乏しく、観客の興味が一気に削がれるらしいです。小説にもこれが当てはまると思います。
- 設定では主人公や登場人物を読者に提示するステップ。どんなに遅くなっても次の「対立」のステップまでに登場人物を登場させるのが鉄則。特に映画の場合最初の10分が要になり、ここで視聴者の興味が得られなければ見向きもされなくなる。そしてこのステップでその作品の世界観や主人公の思想を描写すること
- 設定の段階では日常が描かれる事が多いが、それが一変するような出来事によって「対立」のステップに移行する。この段階では主人公がその作品において取り組むべき事柄がはっきりとし、何をすれば良いのかが、見えてくるようになる。
- 自分で解決法を見出したり、誰かからの助言(これが著者や脚本家の主張になる事が多い)によって「解決」のステップに移行して話が完結する。この段階ではクライマックスになる事が多いので尺としては短くなる。
伏線か、著者の気まぐれか
作家の森見登美彦さんが、著書『太陽と乙女』というエッセイで作品を書くときの様子を述べておりました。
現時点でこの本は手元にないので引用が難しいのですが、以下のような主旨の事を述べておりました。
物語を書いていると当初予定していたプロットとは異なる構想が浮かんでくる。その内容を組み込んだとしても本筋からは外れた内容になるが書きたくなったから書いた。
私たちが本を手に取り、読む段階ではすでに作品になってしまっているので少し難解であったり、「これはどういう意味があるんだろう」と疑問に思う箇所も出てくる事があります。それが伏線であったなら分かり易いのですが、著者の気まぐれである場合もある、という事を知っておいた方がよさそうです。
論文においては明瞭に主張を述べ、知識の伝達が目的になっていますが、小説においては必ずしも明確な主張を持つ必要がない点が異なります。